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  • shiozaki1621

ケアマネの話

ざっくりいえば柔整師も鍼灸師も5年働けばケアマネージャー(介護支援専門員)の試験を受けられる。(詳しくはググってください)


患者さんに施術しながら世間話をしているときに、生活上の悩みを聞くこともしばしばなのでケアマネージャーという仕事に興味を持つ方もいるのではないかと思います。

以下概要を書いてみました。なにかの参考になれば幸いです。


ちなみに自分は持ってません(説得力、、)


ケアマネジメントは課題解決のプロセスであると定義されている。

では課題とはなにか。

介護保険法第二条には、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない、とある。つまりここでいう課題とは日常生活を営むということである。そのために対象者の地域生活を支援する、というケアマネジメントの目的が見えてくる。


ケアマネジメントの起源は1970年代のアメリカである。当時の入院患者のうち半数の者は社会的入院だったことから、コミュニティケアが推進された。社会的入院とは精神的身体的な理由からではなく、居宅でのケアの担い手がいないなどのことから仕方なく入院しているという状態である。このことから単純に医学モデルで疾病の治癒を目指すだけでは不十分で、人を環境面からも支援するという生活モデルへの転換を迫られる。


ここからすこし遅れてではあるが、WHOは国際障害分類(ICIDH)の改訂版として国際生活機能分類(ICF)を採択している。大きな特徴は障害を医学モデルから生物、心理、社会モデルで捉え、個人因子と環境因子という背景因子の影響を考慮している点である。

これらの変化によって医療、保健、福祉、リハビリテーションにかかわる人々が協働する必要が出てきた。現在でいう地域包括ケアシステムである。


アメリカにおける相談支援の過程で効率化のためには、相談窓口を一本化することが必要であるとわかった。日本においては介護支援専門員(ケアマネージャー)がその役割を担っている。


ケアマネジメントの流れとしては、利用者の状況、生活課題と可能性を把握するなどの目的でアセスメントを行い、ケアプランの作成、ケアプラン原案に関して各サービス提供者から専門的な視点で検討調整、認識を共有し、利用者への説明、同意を得てプラン決定、その後サービスを提供し、モニタリング評価(再アセスメント)を行うといったものである。このサイクルを回しながら利用者の生活ニーズに沿うようなケアを他職種と連携をしながら実現していくのである。


ケアマネジメントの定義として米国英国ともに効率的な成果という文言が入っている。

効率性とは時間、労力、費用のことである。また成果とは尊厳を保持し、最大の自立支援の効果をあげることである。なぜ効率をあげる必要があるのだろうか。(ビジネスライクな物言いだけど)


要介護(要支援)の認定者数は、平成30年4月時点で644万人、2000年からの18年間で約3倍になっている。また少子高齢化社会に伴い要介護認定率は今後間違いなく上昇し、一人当たりの介護給付費も増えることが予想される。

なぜなら75歳以上人口は、介護保険創設の2000年以降、2025年までの10年間も急速に増加し、85歳以上人口は75歳以上人口を上回る勢いで増加する。さらに2035年頃まで一貫して増加することが予想されているからである。(まぁその分ケアする人が増えれば、、あっ、少子化か)


医療制度の充実、医療技術の発展によって新たな局面を迎えている。戦後の反動により生命至上主義が興ったが、現在では生活の質、あるいは健康寿命といった言葉が取りざたされるようになった。安楽死、尊厳死といった選択肢も近い将来ないとは言い切れない。(オランダ、ベルギー、ルクセンブルクは「安楽死法」可決している)


介護保険法第一章総則第一条には、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする、とある。第二条には被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、またその居宅において、その有する能力に応じ、などと記してある。

ここから介護保険は相互扶助の制度であること、またケアマネジメントというのは極めて柔軟で、個別性に重きを置いているのが分かる。


治療モデルから生活モデルへの転換や、ICIDHからICFへの改定など、個人を中心とした周りの環境を含んだ形で疾病や障害を捉えようとした場合、単純に一般化できるケースは少ないだろう。


現在の状況を大まかに整理すると以下のような変化が考えられる。

1. 寿命延長に伴い慢性疾患を持つ高齢者が増加した。

2. QOLを尊重した暮らしの支援

3. 高齢者ケア、緩和ケアのニーズ増大

周囲の環境の変化としてまずあげられるのは社会基盤の脆弱化、家族機能の低下であると思われる。(核家族化、少子化、都市化)

寿命延伸という変化はあるが、年金も介護保険制度もなかった時代は家族や地域の人が高齢者を支えていた。


イギリスのマーガレット・サッチャーに影響を与えたといわれている新保守(一般的には新自由主義)主義は福祉国家が寛容な福祉サービスを展開したことで、社会の道徳規範が形骸化したと捉え、個人の自助努力を強調し「小さな政府」と市場原理を重視する考え方である。反福祉主義ともいえるサッチャーの政策はあらゆる社会サービスの縮小に向かい、人々を混乱に陥れた。


介護保険施行時にも家族崩壊と騒がれていたが、現在ではなくてはならないものとして定着している。もう施行以前には戻れないだろう。

むしろ家族の面倒は見なければならないといった「家族主義」が高齢者虐待や家族内殺人を招き、家族として崩壊するという逆説的状況があるように思う。


実際、厚労省の養護者による高齢者虐待の相談・通報件数と虐待判断件数の推移を見れば相談・通報件数、虐待判断件数ともに増加している。虐待の種別の割合としては身体的虐待が多く、被虐待高齢者からみた虐待者の続柄は息子、次いで夫が多い。相談・通報者の関係は介護支援専門員が最も多い。これらのことからケアマネージャーには適切な判断と行動が求められるとともに重要な役割があることが示されていると考えられる。


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