- shiozaki1621
記憶雑記
記憶について書いていこうと思います。
まず前提としておいておきたいのは人は「忘れる」ってことです。
これは日常生活を送る上で大切な機能です。
たとえば失恋した相手との思い出を、その人の言葉や仕草、表情や匂い。そういった一切が鮮明に記憶に残り、忘れられないとしたらどうでしょう。
もう一生山崎まさよしのOne more time,One more chance状態です(最近、秒速5センチメートルを観ました。切な良い感じでした。今思ったんですけど、センチメンタルとかけてるんですかね)
映画「レインマン」のモデルになったキム・ピークさんは9,000冊の本の内容全てを覚えていたと言われています。彼は発達障害でお父さんに介助してもらいながら生活していました。
ちなみに関係あるかどうかは不明ですが(いやそりゃなんかしらはあるんでしょうが)、脳をMRIで見てみると、何と左右の脳を繋ぐ脳梁が無かったとのこと。(交連線維で国試に出てきますよね)
ルリア病という記憶力抜群になってしまう病気は、リアルなイメージを忘れることができないため、現実と想像の区別をつけることができずにノイローゼ、不眠症に苦しむ人が多いようです。
忘れるのは正常だってことで、落ち込まずに何度も反復しましょう!
記憶する上でポイントは、エビングハウス(忘却曲線)の実験で記憶する対象というのは「無意味な音節」だったということ。
もう一つは人によって「差がない」ということです。
いやそんなことないっしょ。記憶力良いやついるし。
と思われるかもしれませんが、超スーパーな例外を除いて大方そうらしいんです。
よく取り上げられるのは、さっきのキムさんみたいなサヴァン(仏語で賢人)症候群の人達とか、あるいは「共感覚」を持つ人達。彼らは五感の混線のような感覚があるようです。(サヴァンにも記憶、美術、数学、音楽など得意な方面がある)
たとえば形に匂いがあったり、数字に色を感じたりなど(僕には数字が風景に見える ダニエル・タメット著 に詳しい)
要はイメージがより鮮明。記憶の過程では「精緻化」されているということだと思います。
なので多くの人は忘れない工夫をする必要があります。その方法として「イメージ」を使う、「意味付け」をするというのが巷間に溢れる記憶法の要諦です。
もう一つ前提の確認として、逆に「覚える」ってことについて。
生理学の教科書には、記憶の段階として記名、保持、想起と書いてありますね。
どんな記憶も脳にはインプットされています。問題は思い出せるか、アウトプットできるかです。想起出来てはじめて「覚えている」と言える。使える訳です。(ちなみにセレゴ・メソッドという枠組みではfamiliar親近感 recognition見分ける recall再生する automatic自動的、習熟 の四段階に分けています。四択問題では見分ける ことが出来れば正答できますが、再生する からが使えるレベルかなぁと)
なので、記憶の定着のためには何度思い出す訓練、想起練習が出来るか、ということにつきます。
ただ引き出しやすい記憶というのがあって、それが「イメージ」や「意味付け」されたものなんですね。
意味付けは、単純には理解するということも含みます。よく理解が大事と言われますが、その方が忘れにくいからです。
語呂合わせはムリやりの意味付けとも言えます。
イメージでいうと「場所法」という方法は、自分が思い出しやすい場所(大体勧められるのは自宅)を思い浮かべて、そこを歩きまわりながら覚えたい事柄を部屋の物に関連付けしていきます。
これはあの悪名高いハンニバルレクター博士も御用達。メンタリストのパトリック・ジェーンも賭けポーカー(カウンティング?っていうんですかね、ダメらしいんですが、ラスベガスをぶっつぶせ!って映画でもアシュトン・カッチャーがやってましたね)で使ってました。これらのなかでは「記憶の宮殿」と出てきますが、同じです。
なんでも古代ギリシャ(2000年以上前)の時代から使われている伝統的方法なのだそう。
ロバート・ラングドン教授は映像記憶っていう特殊能力があるみたいで、場所法とは違うんですが、視覚イメージに頼るって意味では同じです。
五感の8割を占めるといわれる視覚なので、それを記憶に利用するのは、むべなるかなって感じですね。